ツクフェス感想避難先
作品名:まっすぐ!
作者:啓太
名は体を表す。マップは曲がってるけど。
猪突猛進暴走機関車なナオが皆を、世界を、そして理をも振り回す、そんな短編ノベル。4
正のエネルギーに満ち溢れており、見ているこちらも元気エネルギーが伝わってくる作品。
伏線などどこ吹く風だったり、唐突に兄の話が始まったりと話の粗さが無いわけではない。だがそれもまたナオらしい。
内容の作り自体は丁寧で、寄り道コンプどころか「何も無い」状態の話さえチェックしてしまいました。
少し自分にはまぶしい、けれども尊い、大事にしたいと思える作品でした。
シリアスの合間にぜひ。
作者は幾多もの作品をプレイしているツワモノプレイヤーであるが、制作面においてもエネルギーの凄まじさに驚かされました。
今回たまたまそういう作風だっただけかもしれませんが、ギンギンの光属性作者だ・・・!
作品名:家庭用トイレのハナコさん
作者:パルソニック
基本読むだけ短編。でもファミ通に2回載った。特別賞にもなった。すごい。作者はペド。
ツクールフェス1作目からいきなり作者の集大成感がある作品。技術的にも、性癖的にも。
しかも全力で万人向けに寄せてきているので初めての方にも安心です。多分。
テンポの良さ、演出、ともにツクールフェス初期作品でありながら手慣れた感をバリバリ感じます。
経験値の積み重ねでしょうね、これ。
中身なんですが、作者自身が「パル幼女とは何か」と向き合った作品だと思っております。
「喜ぶ」姿も悩み「苦しむ」姿も、作者が思う「好き」を思い描いている、そう感じてならないのです。
公開から1年以上たってるんでネタバレ大丈夫だと思うんですが、最後はやっぱ時間が来た、ってことなんだろうか。
数々の殊勲も納得のクオリティでした。
丁寧なキャラ造形とやりとり、読んでて楽しかったです。タロウはいいやつ。
作品名:ホワイトアウト
作者:うっかりさん
ダウンロードしてから1年以上経ってんじゃねえかな、これ。
長い事ほったらかしててすみませんでした。ほんと。
ツクールフェスで落ちモノパズルを作っちゃった変態的作品・・・それだけでは終わらなかった。
序盤は落ちモノパズルの戦闘に驚愕しつつ、そろそろ目も肥えてきたかな・・・となった所に訪れる違和感。
そして堰を切って雪崩れ込む驚愕の展開の連続!
そこからは完全に物語の虜でした。やめられないとまらない。
RPGとしてはかなり簡素的。住民少な目。戦闘もそれほど多いわけではない。
でも体験は物凄く濃い。大作RPGを遊んだ気分になれる。
特にラストの演出は壮絶。これまでの積み重ねをここぞとばかりにぶち込まれている。
あれはシステム屋としては憧れそのものですね。
正直な所悔しいという思いが強いです。よくもここまで作りやがったなと。
チャットで駄弁っている事も多いってのもあるのかもしれないが、
ここまでありったけの物を表現しきられて、本当に悔しかった。
そんなひねくれ者の自分。
難点と言えば・・・審査員が指摘していましたね。
「敵の行動のバリエーションが欲しかった」
難しいだろうけど、容量とかいろいろあるからね。
作者がいかにとんでもない方だったかを思い知らされた作品でした。
よくまあこんなシナリオを作りきったもんだ。ちくしょーめ。
~7月24日追記~
作品名:色は匂へと散りぬるを
作者:ダイchang
・・・・の、一般投稿版。
サイキック学園モノ中~長編RPG。
発達障害(作中ではサージュ症候群と呼ぶ)を持つ少年少女達が、自らが抱えるトラブルを起こしがちな性質やに悩みながら、
友や愛する者との出会いを通して自分自身と向き合っていく・・・という話。
テーマとしてはシリアスですが、基本的には明るい雰囲気で楽しめると思います。
自分もこの世界ならサイキック能力を扱える立場であるがゆえ、いろいろプレイして思う所がありました。
不器用だけどいい人としてなんとか生きていこうとする彼らの頑張りは、微笑ましくもちょっぴり苦しい気持ちになったり。
演出面は要所要所で見せ所アリ。オラタマンの変身シーンに驚け! めるめらるー
戦闘面はサクサクながらも考える要素があり、敵の名前、耐性から喜怒哀楽の属性を推測し、
いかに効率よく全体攻撃を通していくかが重要。
素早さUPアクセサリが無いのがなかなかニクい。
それにしてもMV楽曲が使われてると本当に新鮮な気持ちで楽しめますね。
ツイッターの紹介欄に記載されているが、作者自身がADHD持ち、登場人物のモチーフとなった子供達も発達障害持ち。
実生活での苦労が偲ばれるが、この作品はそんな親としての子供達への愛の歌……そんなふうに思えました。
没エンド、ここで初めて消化できる設定や大活躍する人物がいるのだが、これが正式なエンドだったら次男坊も自分も怒ってたと思う。
作者一家の今後の幸せを願ってなりません。
作品名:それでも私は前を向く
作者:貸しボート十三号(鬼感謝 闘魔素)
拙作のテストプレイに多大なる貢献をしてくれた方でもあります。
らぶらぶらぶりんらぶらぶりん
Aボタンでガンガン敵をぶっ飛ばすアクションRPG風ゲーム。
ボスはガチアクション風味。
フィールド探索してアイテムやダンジョンを探し、自由に攻略するあたり
ロックマンをパロりつつメトロイドヴァニアやゼルダな感じにソウルブレイダー風味の復興要素。
大好物ですこういうゲームデザイン。
とはいえ、正直な所最初はフィールドシンボルの多さと初期装備の水魔法による裏道がガンガン見つかる仕様により、滅茶苦茶混乱します。
ミニマップが欲しい! ツクールフェスじゃ無理じゃよ! わかってるよ!
手書きマップ作ってると快適に旅ができる・・・かも。
特徴的なのがダンジョンの構造で、4つあるダンジョンは好きな順番で攻略でき、
それぞれの属性の魔法に対して
ダンジョン内をいろいろ近道できる、
ボスに対して有効(あるいはノーダメに必須)である、といった役割があります。
そして極めつけは「そのままボスへ直行できるショートカット」がある属性が割り振られている事。
とあるダンジョンでは初期装備の水魔法がこの役割に割り振られており、無条件でボス直行が可能なのには笑いました。
ちゃんと探索すると重要アイテムが手に入るので謎解きが無意味ではありませんが。
ボスに対してはノーダメ撃破というフィーチャーが仕込まれており、無理してやらなくてもと言われてもやりたくなる構造。
ただし、ほぼ必須の弱点属性合わせ&飛ばせないボス演出&運による攻撃失敗の可能性という牙が襲い掛かります。
ほんと無理しないで。
ストーリーや会話はとにかく「皆がお前を称え応援してくれている! 憎いあん畜生をぶっ飛ばせ!ユケ!ヤレ!」
って感じの勢い重視です。いろいろ設定あるけどあまり考えるな、愛で感じろ。
ギリギリアウトなパロディの嵐も襲い掛かってきます。何故かワルディオスが好き。俺がブルーになるんです。
稀に覗かせるアバウトな作りも何だか昔っぽさを感じさせる、攻略意欲を掻き立てられるパンチのあるゲームでした。
タイムアタックに対しても多少の意識はある模様。
ツクールMVとかでリメイクしたらどうかなこれ。完全なアクションRPGにして、
ミニマップとかボス演出スキップとか付けたら凄く遊びやすくなるし、そんでもってSteamとかアツマールに出したら、ウケそうじゃない?
歩いて解放エクスカリバー
作者:パルソニック
最強の勇者が伝説の剣の理不尽な封印を解くために自宅と町と近所を駆け回るアドベンチャー。
ヒントの石板が要になっており、これを解放することでヒントを増やしていくことになる。
謎解きの楽しさがギュっと詰まった、アイデアに優れた作者の陽の面での作風が強く表れた快作。全体的に明るくギャグに徹しているため、安心安全だ。
特にOPでのふとした事からの実績解放→範囲を制限しての探索→マップ移動解放というレベルデザインはお見事。
演出も「回転しながら流れるように剣を置きそのままベッドイン」
「小気味よいアクション解放演出」と、ワンポイントながらも熟練の技が見て取れる。
探索範囲が非常に限定されているため、やる気がなくなるレベルで詰まることはない。
よほどのことが無ければ、サクサクとエンディング、さらには全開放までいけるだろう。
実は一番最後に残ったのが「チェックポイント」であるのだが・・・。
個人的に要望を入れるなら、例のパーティを編成して解散するときに悔しがってほしかったです。
オチも小気味よく、気分転換にやらない理由はない、いい作品でした。
でも、作者は幼女に対して不穏要素を入れないと死ぬ性質らしい。作者はぺド。
自分は謎解きがさっぱり作れないので、憧れるところである。お気に入りの謎解きは犬関係のやつ。意外性と連続性を伴った仕掛けには弱いのだ。
揚げよトリニク
作者:ぶるうすりい
プレイ時間約5分程度の超短編。内容としてはまあ、鶏を倒してくるお使い、と言ったところか。
粗削りながらも他ではあまり見ない演出は見るものがあるし、シーケンスごとに必ず捻った展開がある。橋の看板なんかは顕著だろう。ツクール作品をやる気はないけどコンテスト環境が気になる時にお勧め。
基本的に展開が唐突で置いてけぼり。よくわからないうちに仲間が増えて、本当に唐突にミニゲームが挟まって・・・といった感じ。凝った箇所は少なくないのだが、基本的にはツクール初心者が適当に作ったそれに限りなく近いのだ。
これが並み居る強豪の大半を抑えて評価順で5本の指に数えられるという事実には首を傾げざるを得ない・・・というか、なかなかにヘイトを集めている模様。世の中ではタイトル勝ちする作品は少なくはないのだが。